ギャンブル依存症で縁を切っていた父が倒れました。
関わらないためにも成年後見を申請することに。
過去記事 父に成年後見人をつけました(ギャンブル依存症の父の話②)
専門職が成年後見人になった場合のメリットとデメリットを家族の立場からお話します。
専門職の成年後見人が選ばれた
自分たちは関わりたくはないけれど、他人に迷惑をかけたくない。
そんな思いでわたしたちは第三者である専門職の成年後見人をお願いする形で申請しました。
申請から約2ヶ月後、父の後見人として社会福祉士さんが後見人と選ばれたという通知が送られてきました。
(成年後見人として選ばれるのは司法書士が多いと聞いていたので、社会福祉士さんが選ばれたことは驚きましたが)
私達としては「早く後見人が決まること」のほうが大事だったので、最短である2ヶ月で成年後見人が決まったことにはホッとしました。
資産引き継ぎ1週間後に本人死亡
後見人が決まるまでの流れは下記の通りです。
4/20 馬券売り場にて脳梗塞で倒れて病院に運ばれる
↓
5/20 成年後見申請
↓
7/13 後見人決定の通知が来る
↓
7/31 後見人から資産引継ぎの連絡あり(旅行中で返信できず)
↓
8/7 後見人に返信し、資産引継ぎの日程調整
↓
8/12 後見人へ資産の引継ぎ
↓
8/20 父親死亡
↓
9/24 家族へ資産返還
申請してから最短の2ヶ月で決まったものの後見人からなかなか連絡が来ませんでした。
連絡先は分かっているのでこちらから連絡しようかと思いましたが、裁判所から「普通は後見人から連絡がきますので」と電話にて言われていたため我慢しました。
通知を受け取って2週間後に後見人から連絡があったのですが、ちょうど私が子どもと10日ほど旅行に出ていたため連絡が取れず。
結局、決定通知を受けてから1ヶ月後に資産引継ぎを行いました。
こちらとしては病院に迷惑をかけないように早く対応してほしかったのですが、後見人もうちの父だけを見ているわけではないですしね。
そして、やっと資産引継ぎをした約1週間後・・・・本人死亡!
なんでやねーーーーんと突っ込みましたよ(笑
死亡したら後見人の権利はない
死亡した時点で本人の資産の管理は後見人ではなく、相続人に移ります。
裁判所に死亡診断書を送付しましょう。
後見人は銀行の名義変更までは終わらせていたようですが、裁判所に後見報酬付与審判が出ないと支払いができないようで何も後見人の仕事をしてもらえず終了となりました。(まぁ、しょうがないんですけど)
審判が出るまでしばらくかかり、本人死亡から1ヶ月経ってやっと資産が返還されました。
結局貯まっていた病院の支払い等は、私達が立替払して遺産から差し引くことになりました(苦笑
専門職の成年後見人のメリットとデメリット
こんな短い期間で分からないだろっ!と言われそうですが、短いなりに思うメリットとデメリットを紹介したいと思います。
専門職の成年後見人のメリット
1.本人と直接かかわらなくていい
これは申請した理由でもあるのですが、専門職の後見人が決まれば家族は何もしなくてもよくなります。
というか、家族は何もできません。
対象者の意向を尊重しつつ必要な意思決定をサポートし、必要に応じて医療や福祉サービスの利用を決めてくれます。
家族の意向は関係なく、専門職の立場から決めてくれるのです。
うちの父の場合は、退院後は一人での生活は無理なので施設に入ることになっていたでしょう。
裁判所は施設の選定や手続き等のことを考えて、社会福祉士さんを後見人に選んだのだと思います。
私達にとって縁を切っている父と直接かかわらなくて済むのは大きなメリットでした。
2.家族の負担が減る(ストレスが減る)
専門職の後見人が病院や施設等の支払い等の事務はすべてやってくれます。
事務的なことで病院や施設から連絡が来ることもありません。(死亡時は連絡きます)
家族にとっては負担が軽減されることになります。
3.感情的にならずに済む
1のメリットと重なるかもしれませんが、本人と直接かかわらずに済むということは感情的にならずに済むということです。
私達のような絶縁している家族ならなおのこと、今までの経緯から「なんでこんなやつの・・・」みたいな感情を持ちながら世話をする必要がなくなります。
第三者が後見人であるということは、客観的かつ事務的に本人の意向を踏まえて決めてくれるので本人にとってもいいことだと思います。
専門職の成年後見人のデメリット
1.コストがかかる
専門職の成年後見人に任せるということは報酬を払う必要があります。
「私がやればタダなのに」なんて考える人にはコストがかかること自体が大きなデメリットなるでしょう。
うちの場合はパチンコに垂れ流すぐらいならよっぽど有意義な使い方だと思いました(苦笑
それにもともと父の資産なんて当てにしてませんしね。
ちなみにですが、1週間しか仕事してもらえなかったうちの後見人の収支報告書を見ると「後見報酬 95,000円」が引かれていました。
これが高いのか安いのか、1ヶ月の報酬額なのか、1週間の報酬額なのかは分かりません。(資産額で決まるようなので、持ち家がある分高くなったのかもです)
いつまで生きるのかわからないことを考えるとコストがかかることは大きなデメリットなのかもしれませんね。
成年後見申請には相続人(うちでいえば私と妹)全員の同意が必要ですから、お金がかかることを嫌がる人が相続人にいると申請の際に揉めるかもしれませんね。
後見人さんのお話によると、資産の引き渡しの際に「渡したくない」とトラブルになることもあるようです。
2.家族には意思決定ができない
何を決めるにも家族の意志は関係ありません。
家族の意向はきかれることもありません。
後見人が専門的な立場から本人に最良と思われる選択をします。
大事な家族のことを他人に決められたくないと考えるような人には、とんでもない制度ということになると思います。
3.資産管理できない
資産管理をやってくれることがメリットだとは思うのですが、本人の資産を当てにして生活していた人には他人にお金を取られたような感覚になることでしょう。
家族だからと今まで自由に使えていた銀行口座からの引き落としもできなくなります。
ほとんどの資産を夫名義にしているような妻は困ることになるでしょうね。
あとは親の資産を当てにしていた子供とか(笑
こういう人はボケたりする前に、銀行の家族カードを作っておくとか、暗証番号を聞いておくとかして後見人をつけなくてもいいようにしておくべきでしょう。
4.何でも時間がかかる
申請から審判が降りるまで、実際に後見人が動けるようになるまで、死んでから資産が返還されるまで・・・等々、何をするにも家庭裁判所の審判が必要なことを進める場合はとにかく時間がかかります。
まぁ、それだけきちんと手順を踏んでいるということだし、管理が徹底されているということでもあるんですが・・・。
スムーズさはなく、何事の判断も時間がかかります。
ただし、医療・福祉関係者によると(仲の悪い家族の場合)成年後見人がいるほうが支払いや連絡がスムーズで助かるとのことでした。
成年後見は仲の良い家族には不要
はっきり言って、成年後見は仲の良い家族には不要です。
本人の意思決定が難しい状態になる前に暗証番号を聞いておくとか、銀行の家族カードを作っておくとかできますから。
施設に入ることになっても、家族で話し合って決めればいいことです。
ただ、我が家のようになにか問題があって本人と関わりたくない場合は最良の制度です。
私の場合は結局本人がすぐに死亡で成年後見のメリットを享受できないまま制度が終わってしまいましたが、ある意味ホッとしています。
それは持ち家があったので、このまま何年、何十年と本人(父)が生きていたら実家は放置されたまま大変な事になっていたと思います。
なんせ家族でも資産は勝手に処分できないからです。
住まなくなった家は荒れ放題になる分、私自身も年を取るので実家じまいが老後に相当な負担になったと思います。
空き家になって約4ヶ月で後見人の管理ではなくなり、早めに売却に向けて家財の処分等に動けるのはラッキーでした。
そこだけは父に感謝です(皮肉です。笑)
私の経験が少しでもお役に立てれば幸いです。
次からは実家じまいの話をしたいと思います。