いきなりですが、ゼニー簿が2011年(発病当時 37歳)に患ったフィッシャー症候群(ギランバレー症候群の亜型)に至った経緯と闘病経験談を記します。
症状や治るまでの経過や時間は人それぞれと言われるこの病ですが、フィッシャー症候群と診断されて悩んでいる人や家族の助けになればと思います。
フィッシャー症候群とは
100万人に一人とも言われる難病の一つです。
フィッシャー症候群は菌やウイルスの感染した場合、通常は抗体が菌やウィルスを攻撃して体を守るのに対し、抗体が自分自身の体を攻撃することによって起こります。
症状は眼の筋肉が麻痺することで起こる「複視(物が二重に見えること)」や、運動失調からくる「ふらつき」です。手足の「しびれ」を訴える人もいます。
半数の症例では、ギランバレー症候群と同様に腱反射が無くなるとされています。
一般的に症状は半年ぐらいで自然治癒するとされていますが、人によっては後遺症を残ったり、亡くなってしまう場合もあります。
ゼニー簿のフィッシャー症候群の発症経緯と治療
一例として、ゼニー簿のフィッシャー症候群の発症経緯と治療経過を記します。
2011年10月初 | 風邪がなかなか治らず体調不良が続いているにも関わらず、 子供の運動会、大阪から義母の来客などから多忙が続く。 |
2011年10月8日 | 朝から頭痛がひどすぎて寝込む。 お昼を過ぎたとき、突然目がぼやけ、 複視状態となる(しかし、頭が朦朧としているのだと本人は思っていた)。 また、左の後頭部がズキズキ痛む。 |
2011年10月9日 | 左の後頭部がハンマーで殴られているような痛さで耐えられなくなり、 救急車にて病院に運ばれる。 頭のCT検査の結果、緊急性がないということで 一旦自宅に帰される(土曜日で休診のため)。 |
2011年10月10日 | 左の後頭部の痛みは収まるが、 ふらつきや複視状態は変わらない。 |
2011年10月11日 | 9日予約をしてもらった神経内科を受診。 重症筋無力症の疑いがあるということで病院を移り、緊急入院。 (受診した大学病院はベットが1ヶ月待ちのため) 血液検査、髄液検査、CTなどの検査が行われる。 |
2011年10月12日 | 気丈に振舞っていたため当初は自覚がなかったが、 頭のふらつきがとれたようで、片目ならどうにか歩けるようになる |
2011年10月13日 | 下半身までのMRI検査、 筋電図検査が引き続き行われる |
2011年10月18日 | 重症筋無力症の患者の8割が陽性となる抗AchR抗体は、陰性。 しかし、眼筋のみに限局する場合は陽性率は50%ため、 重症筋無力症を否定できない |
2011年10月20日 | フィッシャーでは反応がでないとされる腱反射があり、 重症筋無力症の疑いを否定できない。 (フィッシャー症候群の患者に出るとされるIVIg抗体の 血液検査の結果が出ないので、病名の診断はできない) 念のため、ステロイド投与の治療を受ける(3日間)。 薬の名前は、ソル・メドロール |
2011年11月2日 | 血液検査の結果、IVIg抗体が陽性でフィッシャー症候群と診断を受ける。 この日から5日間、フィッシャー症候群の回復期間を早める可能性がある という免疫グロブリン大量療法を受ける(薬の名前は、献血ペニロンI)。 |
2011年11月8日 | 多少のふらつき、複視の症状に回復はみられない。 しかし、フィッシャー症候群と診断が出たことから、 外来にて経過をみることとなる。 |
2011年11月14日 | 職場復帰 |
ゼニー簿の場合は、約1ヶ月入院しました。
難病指定されている「重症筋無力症」の疑いがあったため、正確な病名の判定が出るまで地獄のような日々でした。
当時、IVIg抗体の血液検査ができる機関が「近畿大学」のみで、検査結果が出るまでに時間がかかったのが原因です。
ゼニー簿のフィッシャー症候群の症状
顔の筋肉が動かないため「複視(物が2つに見える)」状態が続きました。
また、発病当初は歩くのもやっとといった感じでした。
なんというか全身の筋肉が固まった感じというのでしょうか、とにかく辛かったのを覚えています。
退院までに普通に歩けるようにはなっていましたが、首・肩・背中のコリがひどかったです。
複視状態は1月中旬ごろからだんだんと回復し、焦点が合う頻度や時間が長くなってきました。
完全に視力が回復するには半年以上かかったと思います。
また、後遺症として今でも疲れてくると、「目の周りの筋肉が固まった感じ」になります。
この症状が出ると、「そろそろ限界だな・・・」と一つの体力的限界サインとなっています。
複視対策として
退院後すぐに職場復帰したため、複視状態では仕事がやりづらかったので、複視対策メガネを自作しました。
100円ショップでダテメガネを2つ購入し、左片方、右片方にそれぞれ黒く塗りつぶした厚紙を貼り付けました。
片方だけサングラス状態。(笑
かなり不格好ですが、強制的に片目にすることで複視ではなくなります。
片方の目を長時間使い続けるのは目の疲れがたまるため、1~2時間おきにメガネを交換していました。
この眼鏡をしているのを見られる度に「どうしたの?」と言われて、説明するのが面倒でしたが慣れればなんてことありません。
実用性重視です。
また、複視というのは他人からは見た目は全然分からないのが辛いところで、本人はとても不便なのに「健常者に見られる」ことにストレスが溜まりました。
顔の筋肉が動いていない(顔面麻痺)わけですからね。。。。
この眼鏡なら、そこのところが他人から「何か障害があるのかも」と思ってもらえる(?ただの変態と思われてた??笑)のである意味いいかもしれませんよ。
全身のコリと複視のために鍼灸に通いました
全身のコリが酷いこと、複視がなかなか治らないことから鍼灸に通いました。いわゆる鍼治療ですね。
フィッシャー症候群の症状は半年以内に治ることが多いと言われていますが、統計がないのでなんとも言えません。
治療法が確立されておらず、難病指定もされておらず、自然治癒する人も多いので発症後の統計データがないんですよね。
しかし、治らない人は一生治らない人もいるということで、かなり不安でした。
なので、少しでも早く直したいと、全身のコリ、顔面麻痺の緩和のために鍼灸治療に週1回通いました。
その効果があったのかは分かりません。
ただ病院に行っても薬さえもらえない(ビタミン剤のみ)ので、「治療を行っている」と思うことで多少の精神安定の効果はあったと思います。
なにもしないでいるのはとても不安でしたから。
※中国本土では神経麻痺の鍼治療は一般的ですので、6ヶ月たっても治らない場合は治療に中国へ行くことも考えたぐらいです。
フィッシャー症候群を振り返って
ゼニー簿の場合、まだ1歳になったばかりの次女がいた頃の発症でした。
発症当初は完全に治る可能性の低い難病指定の「重症筋無力症」との疑いがあったため、子供のことを思うと泣いてばかりでした。
さすがに精神的に図太いせいか、1週間泣き続けた後は「悩んでもしょうがないか」みたいな悟りをひらいていましたが。(苦笑
今思えば、慣れない東北の土地で仕事しながら子供二人を一人で育てていた(今で言うワンオペ育児ですね)無理がたたったのだと思います。
実際にフィッシャー症候群は菌やウィルスに侵されること(一般的な風邪)から、始まります。「風邪だから」といって甘く見ずに、しっかり治すことが必要なのです。
でも、当時のゼニー簿は風邪を引いても横になれないほど忙しい日々だったので、神様がゼニー簿を休ませるためにフィッシャー症候群という病気にさせて、休ませて(入院させて)くれたのだと思います。
(でも、あのムチャな日々を終わらせるには離婚しかなかったと、もう少し早く気づくべきでしたが)
今、フィッシャー症候群で不安な日々を送っている方がいれば、それは日頃の無理がたたったのです!思い切り休みましょう。
ストレスがあるなら断ち切りましょう!仕事がストレスなら、仕事を辞めてしまいましょう!旦那がストレスなら離婚しましょう!(笑
何をおいても健康が一番です。
それに、フィッシャー症候群の場合ほとんどが時間をかければ良くなります。
複視が続くと不安で仕方がないと思いますが、考えて不安になったところで治るわけではありません。
楽しい時間を作って、あまり考えないようにすることも大切ですよ。